ご協力のお願い
熊野古道を含む『紀伊山地の霊場と参詣道』の、参詣道の総延長は300キロメートル超に及びます。登録資産を大切に保全し次代に引き継いでいくため、多くの人々の理解と協力により守られています。
道の大部分は幅1メートル前後と狭く、石畳や階段となっている部分もありますが、多くは山中の土の道です。世界遺産の文化を育んだ紀伊山地は、年間を通して雨量が多く、台風などの災害にもたびたび見舞われる地域でもあり、道の傷みも確認されています。
また、世界遺産登録でキーワードとなっているのが『文化的景観』です。その意味するところは「自然と人間の営みによって形成された景観」というもので、一般的な枠組みを超えた、幅広い内容を含んでいます。
これらの『文化的景観』を守っていくためには、単に神社や仏閣など文化財として指定されているものを保存すればよいというのではなく、基盤となっている自然もまた良好な状態で維持する必要があります。
そのために、『紀伊山地の参詣道ルール』と、下記のことについてご協力ください。
トレッキングポール(ストック)の先端(石突き)には、ゴムキャップを付けてください。
トレッキングポール(ストック)を使用する場合は、先端の石突きにゴムキャップ(プロテクター)を着用してください。着用せずに使用すると石突きで道を傷め、雨水により土が流出してしまいます。
スパイク付きの靴や底の硬い靴で歩かないでください。
スパイク付の靴や底の硬い靴で歩いた場合、道を傷め、雨水により土が流出してまいます。
車両等の乗り入れをしないでください。
マウンテンバイクやバイク等で走行した場合、道を傷めるだけでなく、参詣道は道幅が狭く歩かれている方にも大変危険です。
事前に参詣道の情報を収集してください
参詣道の殆どが山の中の道です。周辺には、豊かな自然が残されており、野生動物等(クマ、イノシシ、スズメバチ、マムシ等々)に遭遇する可能性が高くなります。安全に歩くために、事前に地元市町村等の情報を十分に収集してください。
紀伊山地の参詣道ルール
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は、万物、生命の根源である自然や宇宙に対する畏敬を、山や森に宿る神仏への祈りという形で受け継いできた、日本の精神文化を象徴する文化遺産です。
私たちは、このかけがえのない資産がもたらす恵みを、世界の人々がいつまでも分かちあえるよう、参詣道を歩くにあたって次のことを約束します。
一. 「人類の遺産」をみんなで守ります
紀伊山地の自然や文化にふれ、学び、私たち共有の資産の素晴しさを、みんなの力で末永く後世へ伝えましょう。
ニ. いにしえからの祈りの心をたどります
この道には、祈りを捧げてきた多くの足跡が刻まれています。 今なお続く人々の心に思いを馳せながら歩きましょう。
三. 笑顔であいさつ、心のふれあいを深めます
出会った人と声をかけあい、また地域の人々とも交流を図りましょう。
四. 動植物をとらず、持ち込まず、大切にします
貴重な動植物が生息する紀伊山地では、存在するもの全てが大切な資産です。自然を愛し、守る心を持ち続けましょう。
五. 計画と装備を万全に、ゆとりを持って歩きます
道中は何が起こるかわかりません。中には険しい道もあるので、天候・体調・装備などを十分に考えて、無理をせず歩きましょう。
六. 道からはずれないようにします
道をはずれることは危険であり、植生などを傷めることにもなります。むやみに周囲に踏み込まないようにしましょう。
七. 火の用心をこころがけます
タバコのポイ捨てなど、ちょっとした不注意から火災は起こります。火気の取り扱いは十分注意しましょう。
八. ゴミを持ち帰り、きれいな道にします
地域の人たちが古くから守りつづけてきた道です。 ゴミを持ち帰り、来た時よりも美しい道にしましょう。