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継桜王子から熊野本宮大社までの古道は、まさに中辺路のハイライト。
人家や車道と離れた森林の中を、「草鞋峠(わらじとうげ)」「岩神峠(いわがみとうげ)(迂回路)」「三越峠(みこしとうげ)」の3つの峠が待ち構えています。
それらの難所を越え、熊野本宮大社の神域の入口とされる別格の「発心門王子」にたどり着きます。
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コース高低図
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歩行距離:14.2km 歩行時間:6~8時間
最低標高:約250m(赤木越え分岐付近) 最高標高:約670m(迂回路の峠)
このコースの注意
このコースは人家や車道と離れた森林の中を歩く距離が長く、そのうえ3つの峠を越すので、健脚の方向けです。また相応の準備をして歩いて下さい。林道とは交差するところがありますが、ほとんど車は通りません。
発心門王子付近には交通・宿泊の便が悪いので、熊野本宮大社まで一気に歩き通すプランを立てるのがおすすめです。
いずれにしても早朝出発することと、日の短い時期と悪天候の日は避ける方が賢明です。
コース紹介
継桜王子をスタート
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野中の一方杉やとがのき茶屋がある、継桜王子がスタートです。
細い車道を下り、旧国道に合流すると、15分ほどで「中川王子」です。 旧国道から脇道を登った森の中に中川王子の石碑が立っています。
中川王子
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旧国道から少し上がった林の中に、緑泥片岩の石碑がひっそりと立っています。
比較的早く設けられた王子で、中右記に「仲野川王子に参る」とあります。後鳥羽院御幸記では「中の河」となっており、修明門院御幸記には「中川」と出ています。緑泥片岩の石碑には「中川王子」とあります。
再び旧国道を歩くこと30分。小広王子に到着します。
小広王子
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小広峠の旧国道の道端に、上部の破損した緑泥片岩の小広王子碑が建てられています。
明治の道路改修以前は、もとの高い峠の上にあったものです。
小広王子から車道を少し歩くと、林の中を下る山道に入ります。数分で再び車道に合流し、トイレがあります。この先は三越峠までは仮設トイレのみとなります。
いったん川原に下り、橋を渡って熊瀬川王子・わらじ峠に向かいます。
熊瀬川王子
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中世の熊野参詣記には、熊瀬川王子の名が見られません。そのため王子自体の存在が疑問視されており、一説には小広王子と熊瀬川王子を同一の王子であるとすることもあるようです。
ただし、江戸時代の地名として「熊瀬川」の名があることから、その名をとった王子であるとも考えられます。
熊瀬川王子から「わらじ峠」を経て、「女坂」を、谷川沿いの仲人茶屋跡まで下ります。ただし仲人茶屋跡から岩神峠を経て湯川王子までは、台風による災害で迂回路となっています。
仲人茶屋跡付近から川沿いの林道を少し下り、迂回路の峠に入ります。岩神王子を通るよりも少し距離が長くなります。峠を下ると、未舗装林道に合流します。案内板に沿って林道を進むと、蛇形地蔵への下り坂に分岐します。
蛇形地蔵から谷川を渡り、集落跡を進んでいくと湯川王子です。
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湯川王子
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音無川の上流、桧林の中に王子跡があり、緑泥片岩の碑と小祠が見られます。
湯川王子は九十九王子のうち比較的格式の高い准五体王子として、また道湯川の氏神として祀られてきました。
明治末期には近野神社に合祀され、さらに国道311号線がかなり離れたところを通ったことで、道湯川は昭和30年代から無人になりました。現在は土地の出身者によって小社殿が建てられています。
平治の乱でも活躍した湯川一族発祥の地といわれ、往事はかなり栄えたと思われる石垣などが残ります。
湯川王子を過ぎると三越峠への上りが始まります。林の中の上りを息をつきながら上ると、急に視界が開けて舗装された林道に出ます。ここが三越峠で、休憩所とトイレがあります。
ひと休みしたら下りに入りますが、下り坂が長く三つの峠を越した足には疲れがたまっていますので、気を付けて下っていきましょう。
やがて未舗装の林道に出て、緩やかに下っていきます。
船玉神社・猪鼻王子
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船玉神社を経て林道から少し入った猪鼻王子を過ぎると、発心門王子へ15分ほど少し急な登りです。やがて鳥居が見えたら発心門王子です。
発心門王子
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発心門王子は熊野九十九王子の中でも別格の五体王子のひとつに数えられていました。
「発心門」とは、仏の道に帰依する心を発する入り口(門)という意味で、ここからが熊野本宮大社の神域とされていました。
明治末期の神社合祀で三里神社に合祀となり、社殿も移築されました。現在の社殿は平成2年(1990)に復元されたものです。
コースの注意
発心門王子付近にバス停がありますが、便数が少ないため、このまま熊野本宮大社へ続けて歩くことをおすすめします。その場合、距離が長くなるので、出発は早朝にしてください。
発心門王子から熊野本宮大社へ向けて300mほどで、休憩所とトイレがあります。
ウォークマップ
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