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モデルプラン5 南方熊楠ゆかりの地めぐり

 森羅万象を研究の対象とした知の巨人。日本ではじめてエコロギーという言葉を使ったとされ、自然保護にも尽力。熊野の景観をいまに残し、世界遺産登録への礎を作ったともいえます。熊楠の思想を知ることで、自然や信仰の意義について考えてみませんか。

南方熊楠と熊野

 熊楠と熊野を語るうえで外せないのが、神社合祀反対運動。明治時代、政府により地域にある神社がひとつにまとめられる神社合祀が進められましたが、豊かな生態系を持つ神社林や人々の心のよりどころであった神社を取り壊すことに、大きな危機感を持った熊楠は、反対運動を起こします。その運動は、中央官僚や世論にも影響を与え、熊楠の考えに賛同した多くの人々が神社を守るべく活動しました。その結果、熊野に残る数々の神社が残り、いまや世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する重要な資産となっています。
 そんな熊楠が後半生を過ごした田辺市街地には、熊楠が実際に暮らした邸宅や熊楠の資料が保存・公開されている顕彰館、神社合祀反対運動のきっかけとなった熊楠ゆかりの神社などが残ります。称号や肩書にとらわれず生涯を在野の研究者として過ごした熊楠。熊楠が残した膨大な資料からは、熊楠の計り知れない思想に触れることができ、いまなお多くの研究者を唸らせています。
 熊楠がこの地でどのように暮らし、どのような活動をしていたか。熊楠の足跡をたどることで、これからの時代に大切なことを教えてくれるかもしれません。

スタンプラリーモデルコース

スタンプスポット

①南方熊楠顕彰館・南方熊楠邸
②磯間浦安神社
③日吉神社
④神楽神社
⑤鬪雞神社
⑥八立稲神社
⑦高山寺

おすすめの巡り方

紀伊田辺駅を起点に、徒歩またはレンタサイクルで街の雰囲気を感じながらめぐってみましょう。
■歩行距離:約8km
■所要時間:3時間30分~4時間
※所要時間は目安です。歩行速度や見学時間により変動します。

コース紹介

JR紀伊田辺駅から出発!



徒歩10分

南方熊楠顕彰館・南方熊楠邸

南方熊楠顕彰館は、熊楠さんが暮らした邸宅の隣に開設された資料館。熊楠さんが遺した蔵書・資料等を見ることができます。熊楠さんにまつわる展示会やイベントも開催され、バッグや文具などオリジナルグッズも販売しています。隣にある邸宅は、熊楠さんが暮らした当時の様子をそのまま残しています。広い庭は研究園そのもので、熊楠さんはここで新属新種の変形菌(ミナカテルラ・ロンギフィラ)を発見しました。大きな楠や柿、みかんなどたくさんの樹木が当時を偲ばせます。

電話/0739-26-9909
時間/10:00~17:00(入館時間は16:30まで)
休日/月、第2・第4火曜日、祝日の翌日(土日祝は除く)、12/28~1/4 ※臨時開館・休館あり
料金/邸宅観覧料 一般350円、高校生以下無料



徒歩15分

磯間浦安神社

昔から神の島として信仰される神島。珍しい植物が繁茂していたことから熊楠さんもたびたび上陸して生態調査をしており、神社合祀によりこの島の樹木が一部伐採されたときには強く保全活動を展開しました。
昭和天皇行幸の折には、ここをご案内した後、お召艦「長門(ながと)」の艦上にてご進講をし、熊楠さんにとって大変な名誉となりました。
磯間浦安神社の前から神島を望むことができ、熊楠さんは写真の裏書にここからの眺めと神社合祀への反対意見を述べています。
熊楠さんの保全活動の末、神島は国の天然記念物になり、生態系の保護のため許可なく上陸することは禁止されています。



徒歩7分

日吉神社

日吉神社は高山寺の猿神社と同じく猿神を祀っており、祭りの神輿のご神体や狛犬もお猿さん。神楽神社とともに、熊楠さんの反対運動により合祀を免れました。



徒歩5分

神楽神社

神楽神社周辺のうっそうとした森は独特の植物相で、熊楠さんはたびたび採集に訪れ、境内のため池で珍種の藻を発見。熊楠さんが社叢の保全を強く呼びかけ、合祀を免れました。



徒歩15分

世界遺産 鬪雞神社

熊野三山の別宮的存在で世界遺産にも登録されている神社。
熊楠さんは境内の森「仮庵山(かりおやま)」を「クラガリ山」と呼び、平地ではなかなか見ない密林であるとして調査研究しました。また熊楠さんの妻・松枝はこの神社の宮司の娘で、結婚前にはなにかと理由をつけて松枝に会いに通っていたというほほえましいエピソードも。

世界遺産 鬪雞神社



徒歩25分

八立稲神社

八立稲神社は、もともとは東八王子社という名前でしたが、1873年に上ノ山東神社に改められ、その後1907年に八幡、出立、稲荷の3つの神社が合祀され「八立稲」神社という名前に。



徒歩20分

高山寺

熊楠さんの墓所がある真言宗の古刹。海を見下ろす高台にあり、熊楠さんは生涯の親友であった喜多幅武三郎の墓所のそばで眠っています。
境内には熊楠さんがよく採集に行き、新種の変形菌(アオウツボホコリ)を発見した猿神社跡も。猿神社が合祀され跡地の植物が伐採されたことが神社合祀反対運動のきっかけとなりました。



徒歩15分

紀伊田辺駅

高山寺散策後は、山門方面から大師橋、大師通を通ってJR紀伊田辺駅方面へ戻りましょう。

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