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モデルプラン1‐1 扇ヶ浜潮垢離場~滝尻王子(北郡越)

 京都から紀伊路をたどり、山中の中辺路へ向かう前に大事な儀式がありました。それが海水で身を清める”潮垢離”。中辺路と大辺路の分岐にあたる田辺の海は、京から熊野三山を目指す人々にとって最後の潮垢離の舞台であり、気持ち新たに出発する場所でもありました。
 中辺路のスタート地点は田辺市街地にありますが、2004年の世界遺産登録当初に構成資産として登録されたのは、中辺路では滝尻王子から先の参詣道でした。その後、2016年に闘鶏神社や長尾坂、北郡越などが追加登録されましたが、中辺路のスタート地点は滝尻王子というイメージが定着しつつあり、また、田辺市街地から滝尻王子までの区間は舗装路が多く、いわゆる「古道」のイメージと異なるため、この区間を歩く人は多くありませんでした。
 しかし、こうした区間にも見どころはたくさんあります。町中を歩くからこそわかる土地の暮らしや人の営みを感じながら、ところどころに残る史跡、地名などから歴史を知ることもできます。歴史といまを見比べて、町の変遷に思いを馳せてみるのも一興です。潮垢離を起点に熊野への一歩を踏み出してみませんか。

※この区間は下三栖で分岐し、平安時代の熊野御幸等で利用された富田川沿いのルートと室町以降に開かれた潮見峠越ルートに分かれます。このページでは富田川沿いのルートをご紹介します。潮見峠越ルートは以下をご参照ください。

スタンプスポット

①扇ヶ浜潮垢離場
②道分け石
③秋津王子
④万呂王子
⑤三栖王子
⑥八上王子
⑦稲葉根王子
⑧鮎川王子
⑨北郡越
⑩滝尻王子

モデルプラン

1日目
・各地から田辺市へ
・扇ヶ浜潮垢離場から稲葉根王子まで歩く
 歩行距離:12.0km
 歩行時間:3~5時間
 上り(累積):160m
 下り(累積):120m
・バスで田辺市街地へ戻る
・味光路で夕食、市街地で1泊

2日目
・バスで稲葉根王子まで移動
・稲葉根王子から滝尻王子まで歩く
 歩行距離:13.6km
 歩行時間:3.5~5時間
 上り(累積):400m
 下り(累積):350m
・滝尻王子から各地へ

コース紹介

扇ヶ浜潮垢離場

熊野詣での巡礼者は田辺市江川の浜で「潮垢離」をして身を清め、山岳路の中辺路ルートに進みました。この故事にちなみ、扇ケ浜海水浴場に「潮垢離場」が設けられています。海水で手を洗い、身を清めます。扇ケ浜からは、美しい夕日を見ることができます。

田辺市扇ヶ浜
0739-26-9929(田辺市観光振興課)
駐車場あり(市営扇ヶ浜海岸駐車場 約400台)

〈ちょっと寄り道〉地元ならではのお昼ごはんで腹ごしらえ

あがら丼・あがら飯

あがらとは「私たち」という意味。地元産品を使った地元ならではの食事を楽しんで。
あがら丼HPへ

お弁当

行程の途中で腹ごしらえしたいときは、お弁当がおすすめ。町中には地元食材を使ったお弁当をその場で注文できるお店も。
お弁当屋



徒歩10分

道分け石

中辺路と大辺路の分岐点。北側から来ると「左 くまの道」と書かれており、左へ行くと熊野古道・中辺路へと進むことが記されています。

田辺市北新町
0739-26-9929(田辺市観光振興課)
駐車場なし
※路上駐車はご遠慮ください。



徒歩30分

秋津王子

熊野古道中辺路 秋津王子 安井宮跡の石碑

藤原定家の「熊野御幸記」に「秋津王子」の名が初めて登場します。秋津にあったことは明らかですが、会津川の氾濫で数度にわたって移転され、元の場所は消滅して確定できません。柳原という所から笠松跡、安井へと移転し、明治以降は豊秋津神社に祀られています。同社所蔵の永正三年(1506)の棟札に柳原王子とあります。(写真は安井の石碑)

田辺市秋津町
0739-26-9929(田辺市観光振興課)
駐車場なし
※路上駐車はご遠慮ください。



徒歩50分

万呂王子

熊野古道中辺路 万呂王子

藤原定家の熊野御幸記に、秋津王子に参ったあと「山を越えて丸王子にまいり」とありますが、現在、その山はまったく確認できません。その社地は小さい森になっていたそうですが、明治10年に須佐神社に合祀され、その後、田になってしまいました。現在は熊野橋から50mほどの北の梅畑の畔に標柱があります。

田辺市上万呂
0739-26-9929(田辺市観光振興課)
駐車場なし
※路上駐車はご遠慮ください。



徒歩10分

下三栖交差点

富田川沿いを進むルートと長尾坂・潮見峠越へと進むルートの分岐点。看板を参考に、長尾坂方面へと進みましょう。



徒歩10分

三栖王子

熊野古道中辺路 三栖王子

万呂王子跡から左会津川をわたり、報恩寺の山側の道をのぼると「三栖王子跡」の碑があります。現在は、潮見峠への途中にある「珠簾神社」に合祀されています。
御幸記にはミス山王子と記されていますが、すぐ側を流れる川に王子社が映って見えることから、影見王子とも呼ばれていました。

田辺市下三栖
0739-26-9929(田辺市観光振興課)
駐車場なし
※路上駐車はご遠慮ください。



徒歩45分

八上王子

熊野古道中辺路 八上王子

建仁元年(1201年)の『熊野御幸記』に「ヤカミ王子」とあり、古くから崇敬されていました。西行法師の私家集『山家集』に、
「待ち来つる 八上の桜 咲きにけり 荒くおろすな 三栖の山風」
とあり、八上王子の名が広く知られています。
王子は住民の信仰があつく、今は八上神社として産土社となり社叢も保護され、神社の形態がよく保たれています。明治末期に神社合祀の対象となりましたが、南方熊楠の神社合祀反対運動のおかげで合祀をまぬがれました。
八上王子境内は世界遺産・熊野参詣道の一部として登録されています。

上富田町岡
0739-47-0550(上富田町役場)



徒歩40分

稲葉根王子

熊野古道中辺路 稲葉根王子

稲葉根王子は上富田町岩田王子谷の入口にあり、熊野九十九王子の中でも社格の高い准五体王子でした。
天仁2年(1109年)の「中右記」にもその名が見え、社歴も古く、格別に崇敬されていました。 この王子の神は熊野本地曼陀羅に稲を背負う翁の姿で描かれ、別名稲荷王子と呼ばれ、稲荷信仰に深い関係を持っています。
中辺路の重要な水垢離場とされた岩田川(富田川)の渡渉地点に近く、この王子から川で水垢離をし、対岸の一ノ瀬王子へ渡ったと伝えられています。
江戸時代は産土神とされていたが、大正15年(1916年)、現在の岩田神社へ合祀されました。現在は再び分霊を遷し、稲葉根王子として再興されています。
稲葉根王子境内も世界遺産・熊野参詣道の一部として登録されています。

上富田町上岩田2988-2
0739-47-0550(上富田町役場)

バスで田辺市街地へ

稲葉根王子までたどり着いたら、バスで田辺市街地まで戻り、市街地で宿泊しよう。



バス30分

田辺で1泊

夕食は味光路で

素泊まりの施設が多いので夕食は飲食店で。約200軒が集まる県内随一の飲食店街「味光路」では、新鮮な魚介をはじめ、おいしい食事とお酒が味わえます。
お食事処

市街地周辺で1泊

ゲストハウスやビジネスホテルで疲れを癒しましょう。
周辺の宿泊施設

2日目

紀伊田辺駅からバスで稲葉根王子へ

2日目はバス(時刻表)で前日のゴール地点の稲葉根王子までアクセス。そこから熊野古道歩きを開始しよう。

熊野古道中辺路 稲葉根王子



徒歩75分

鮎川王子

熊野古道中辺路 鮎川王子

『熊野御幸記』には「次にアイカ王子に参る」とあり、この王子が鮎川王子にあたります。
岩田川(現在の富田川)と愛賀川が合流するところにあったので、「アイカ」とは「愛賀」のこととも、川が合流する「合川」のことであったともいわれています。
明治7年に対岸の住吉神社に合祀され、本殿も移築されました。移築された本殿は、18世紀前期に建立され、古式をよく残しています。

田辺市鮎川
0739-26-9929(田辺市観光振興課)



徒歩30分

北郡越

道の駅ふるさとセンター大塔の対岸を過ぎ、国道の橋をくぐったあと、北郡越の小さな峠に差し掛かります。
現在の国道311号線はトンネルとなっていますが、その上を通る古道です。途中、庚申さんや石碑がある古道らしい道です。

0739-26-9929(田辺市観光振興課)



徒歩105分

滝尻王子

滝尻王子

滝尻王子は富田川と石船川が合流する地点に鎮座します。かつてはこの王子社が熊野三山の霊域のはじまりとされていました。
滝尻王子は、熊野九十九王子社のうち五体王子社にも数えられ、中世に熊野御幸が盛んであった頃には、皇族貴族により奉幣や読経の他、法楽のための里神楽や歌会が盛大に催されました。
平安時代後期には藤原秀衡の寄進により四町歩(1万2千平方メートル)の境内に七堂伽藍が建立されていたといわれています。

田辺市中辺路町栗栖川859
0739-64-1470(熊野古道館)

熊野古道館

滝尻王子の向かいにあり、熊野古道をはじめ、中辺路町の観光案内や歴史紹介を兼ねた休憩施設、観光案内・ビデオ語り部・歴史展示・休憩・グッズ販売の5つのコーナーがあります。

田辺市中辺路町栗栖川1222-1
0739-64-1470
時/8:30~17:15
休/年末年始

熊野本宮館

滝尻王子から各地へ

バスで帰路へ。続けて歩きたい方は、滝尻周辺か高原周辺で1泊しましょう。

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