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ブログ

The World is One. We are the Same.

お知らせ・更新情報 2020/04/15

「世界はひとつ 私たちは同じ」 

―有史以来、世界中の巡礼者がその体験を通じこのような感覚になりました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に広がるにつれ、私たち人類はいかにもろいものか、そして世界中がいかにつながっているかを思い知ることになりました。
極度の不安、喪失と哀しみ、先の見えない不確実な時を乗り越えるために、世界中の人々が強い精神力を持って支え合いひとつになることが不可欠です。

古来より、熊野は蘇りの聖地として存在してきました。
何人をも受け入れ、巡礼の文化を守ってきた私たちは、今その意味や価値を改めて問いただしています。
私たちに出来ることは?救いとなれることはないのか?グローバルな危機の状態にある人類にとって、私たちが出来ることはないのか?

English message is here. 英語はこちらです。

Health First(健康第一)

これまでもこれからも、私たちの最優先事項は健康と安全です。
それは、巡礼者はもちろんのこと、サービス提供者、救急救命士、医療従事者、そして一般の市民に至るすべての人々に対し言えることです。

そのために、私たちは衛生的な環境を整えるよう努めています。
観光案内所の出入口には消毒用アルコールスプレーを置き、誰でも利用できるようにしています。
また、カウンターなど多くの人が触れる部分は定期的に消毒用アルコールで清拭し、すべてのスタッフがマスクを着用しています。
「うつらない・うつさない」を基本とし、来訪者の応対に誠実に取り組んでいます。

Mourning & Loss(喪失と哀しみ)

毎日、世界中から新しい感染者数と死亡者の数が、まるでレースのように次々と発表されます。
単なる数字ではなく、これらの数字にはそれぞれの人生があります。
新型コロナウイルス感染症で影響を受けたすべての人々に対し、私たちの心と祈りが届きますように。

熊野古道とスペインのサンティアゴ巡礼路は、世界に2例しかないユネスコ世界文化遺産に登録された巡礼の道です。私たちは、サンティアゴ・デ・コンポステーラ市及びガリシア州と10年以上にわたり共同プロモーションを展開してきました。その過程で、私たちは友情と強い絆を築いてきました。
ふたつの異なる文化と伝統を共に理解し尊重し、共通点を見出してきました。
この経験は、人生を変えてくれるようなかけがえのないものでした。
世界中で宗教の対立がある中、宗教の違いを超えて協力し合う私たちの関係は、ひとすじの明るい光であると思います。

このたびスペインから、共にこのプロジェクトに取り組んだ親愛なる友人のひとりが、新型コロナウイルス感染症で亡くなったというニュースを受け取り、大きなショックで心は重く沈みました。
とても聡明で親切で思いやりのある女性でした。
国籍に関係なく、出会ったすべての人の心を繋いでくれる能力を持っていました。
田辺市とサンテイアゴ・デ・コンポステーラ市の関係は、彼女なしでは実現しなかったことでしょう。
私たちが共に創り上げたどのプロジェクトも、彼女の情熱と愛に支えられていました。
彼女は、私たちにとって唯一無二の存在であり、いつも傍にいてインスピレーションを与えてくれる存在でした。
彼女の死をいまだに信じられません。
しかし、彼女が残してくれたものは永遠に私たちと生き続けます。
ありがとう、Megumiめぐみ。どうぞ安らかにお眠りください。

Understanding Cultural Traditions & Human Needs
(巡礼文化に人が求めるもの)

熊野古道は1000年を超える歴史においてすべての巡礼者たちを受け入れてきました。
最近では、多様な国籍の人たちが紀伊半島の険しい山々にある熊野三山を訪れています。
熊野詣での歴史を紐解くとき、「蟻の熊野詣で」と例えられるほど人々が熊野を目指した時代がありました。
平安後期、戦乱や天変地異、疫病の流行など世情不安が高まり、人々は浄土を求め熊野へと詣でたのです。
健康と安全、そして疫病封じの願いは、人々が古より神々に祈ってきた共通のテーマです。
これらの伝統は引き継がれており、熊野本宮大社では2020年3月10日、九鬼宮司によって新型コロナウイルス感染症の世界的流行からの回復を祈願する儀式が執り行われました。

人類が旅を始めた理由のひとつに巡礼があると言われます。
巡礼は、時として言葉では表現し難い、私たちの意識の深層や魂の本質に触れる、普遍的な体験をもたらしてくれます。

巡礼文化の伝統を守り保全していく立場の私たちは、巡礼が人間の精神性にもたらす価値を認識し、後世へと引き継いでいくことが大切だと考えます。
今回のパンデミックは、地球全体を巻き込んで未知の道を歩んでいます。
私たちは、巡礼文化の伝統と人間の本質を理解し、次の世代のためにこの巡礼文化を守ることに最善を尽くします。
救いと再生の聖地熊野は、未来への希望を抱く場所として今まで以上に必要となることでしょう。

Economic Strife(経済危機)

現代社会では、人々の生活は経済に大きく左右されます。
私たちの田辺・熊野、特に山間部は観光産業に依存しています。
世界中の他の地域やさまざまな産業と同様に新型コロナウイルス感染症は経済に深刻な影響を及ぼしています。
私たちは、突然収入源を絶たれ苦しんでいる地域の事業者の方々と話し合いを重ねています。
国や県、地方自治体は今回の経済支援策として、生活支援や事業支援の方策を打ち出しています。
私たちはそれらの情報をいち早く入手し、必要とする人には相談に乗るなど、精神面のサポートにも心掛けています。

私たち田辺市熊野ツーリズムビューローもまた、収益が大幅に減少しています。
厳しい状況ですが、スタッフの雇用を守りつつ、この状況が収束したときにコミュニティをサポートできるよう、戦略を組み立て努力しているところです。
300近い地域の契約事業者の方々と、年間何万人もの観光客をサポートしている私たちは、着地型観光の新しいモデルです。
私たちの地域を、日本の他地域や世界とつなぐために必要不可欠な組織です。
このことの責任を真摯に受け止め、地域の人たちと共に月日をかけ懸命に築き上げてきたものを維持し、さらに強化していくため、今後も最善を尽くします。

Sharing the Kumano Message(熊野からのメッセージ)

私たちの使命は、世界遺産熊野古道の巡礼文化の保存と観光活用です。
しかし、歴史上前例のないこの状況において、適切な情報発信はどうあるべきかを模索しています。

・ロックダウン状況の人たちにどうすれば希望をもってもらえるのか?少しでも気を紛らわせてもらえるのか?
・特別な巡礼の旅となるはずだった予約のキャンセルを余儀なくされたお客様に、どんなメッセージを送るべきか?
・SNS等での投稿は今適切といえるのか?
・SNSで投稿が出来たとして、どういったトーンが適切か?
・情報を発信した時どう受け止められるのか?
・このような不確かな時世に、熊野古道の巡礼文化の保存と活用という私たちの使命をどう果たせばいいのか?
・私たちの短いメッセージや写真が、世界の人々に希望を与えるチャンスとなり得るのか?
・私たちスタッフにとって、お客様とのメッセージのやりとりがこの状況下でさらなるストレスとならないか?

そして、これらすべてを議論の上、私たちは熊野の独特の文化を発信することを止めるべきではなく、できる限りのポジティブな方法で交流し情報発信すべきであると、結論付けました。

また安全に旅することが出来るようになった時、私たちはお客様の一生に一度の巡礼の旅を全力でサポートします。熊野は普遍的で、現代の社会にとって価値のある生きた聖地です。
私たちは、この豊かな文化的景観を将来にわたって守り続け、次の世代に引き継ぐために尽力します。
巡礼道は、歩く人がいるからこそその意味を持ちます。
私たちは巡礼者が貴重な体験を出来るよう、持続可能な方法でお手伝いしていきます。

Gratitude(感謝)

このような困難なとき、私たちに心のこもった励ましのメッセージを送ってくださったすべてのお客様に感謝します。

予測不可能なこの時期の予約キャンセル処理に寛容に対応してくださった地域の皆様に感謝します。

大きな哀しみの中で頑張っているスペインの友人に感謝します。

経済状況が落ち込む中、生き残りに奮闘する旅行会社のエージェントの皆様、私たちの地域を牽引していくのに重要なパートナーであり続けてくれて感謝します。

この難しい局面に前向きに頑張ってくれているスタッフに感謝します。

将来は不確かで劇的に変化していますが、また熊野古道を歩く人々が戻って来る時を楽しみにしています。
共に歩み、共に生き、経験しましょう。私たち人類がひとつになることの本質を!

世界はひとつ、私たちは同じです。人類のつながりをより強くし、この難関を共に克服しましょう。

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